学歴がすべてと言うわけではないが、高学歴はステータスの1つとして就職や結婚などでメリットとなることは多い。もちろん学歴をひけらかすような人は敬遠されかねないが、一方で「高学歴」というレッテルに悩まされ、普段の生活で “高学歴隠し”をしている人たちもいるようだ。
都内在住の40代主婦・高野さん(仮名・以下同)は、私立の中高一貫女子校からストレートで東京大学を卒業。学生時代に知り合った同級生と卒業後にすぐに結婚、2人の子供を出産した。アルバイト経験はあるものの、企業に就職したり、自営業で生活費を稼ぐなど、「結果的にちゃんと働いたことはない」という。
そんな高野さんは、ママ友との交流を通して「東大卒“なのに”主婦」というレッテルに悩まされたことを明かす。
「ママ友と話をしているなかで、自分のプロフィールを答える必要がでてきたとき、東大っていうと、ほぼ100%の確率で『えっ、なんで主婦してんの?』『もったいない!』『主婦になるんだったら、東大なんて行かなくてもよかったんじゃ……』と言われ、挙句の果てには『税金泥棒』とも言われたこともあります」
高野さんは戸惑った。勉強するのはゲームを攻略するようで面白かったし、特段、就職しないと決めていたわけでもなかった。ただ、夫は転勤が多い職種だったうえ、子育てに忙しく、就職する理由とタイミングがなかっただけだ。
「東大を卒業するような女性は、なにがなんでも“バリキャリ”になりたい人、というイメージがあるのでしょうか……」という高野さん。処世術として、基本的に東大卒であることは隠すようになった。
「確かに勉強したことを直接社会に役立てているわけではない、という点では、『無駄な学歴』と言われるのはごもっともだと思います。税金で支えられている国立大学なわけですし。
でも、私はそもそもどこかに就職するために大学に行ったわけではないし、勉強をするなかで培われた能力は、子育てや社会を生き抜く上で役立っているんじゃないかと考えています。だから、決して無駄だったとは思いません。ただ、東大卒ということが明らかになると、面倒なことを言われて、その対応にストレスが溜まりがちということは学習しました」(高野さん)