人口減少する自治体が陥る悪循環
人口が激減する自治体では若者ほど将来不安が募りやすく、大都市圏や県庁所在地などへの流出が拡大している。ただでさえ出生数が少ないのに、若者が流出したのでは地元の市役所や町村役場の職員のなり手がより不足するのも当然だ。
人口の激減が進んでいる自治体では、「若者が地元に戻らず地方公務員のなり手が減少」→「人手不足が慢性化して職場がブラック化」→「行政サービスの劣化」→「住民の流出に拍車がかかり過疎化が進行」→「高齢化の進行」→「若者が地元に戻らず地方公務員のなり手が減少」という負の循環が起きている。こうした負の循環が地方公務員の応募者減少の背景となっているのである。
先述した通り、日本の出生数減は続く見通しだ。生産年齢人口は1994年から2022年までに14.7%減ったが、2050年には2022年の4分の3になる。地方公務員のなり手不足は解消の見込みは立っていない。
生産年齢人口の急減は受験者数の減少だけでなく、遠からず合格者割れの常態化を招き、いずれは深刻な職員不足に陥る自治体を増やすだろう。日本総合研究所の推計では、2045年度の職員の充足率(必要な行政需要に対する職員の供給数)は2018年度を「100」とした場合、政令市などが83.0、町村では64.6に落ち込むとしている。
次のページ:今後求められる対策は2つ