人生100年時代を迎えたいま、60才はおろか、70才を過ぎてからもバリバリ働くのが当たり前だ。昨年発表された総務省の調べによると、65才以上の就業者数は912万人と過去最多を更新。19年連続の増加で、その数は10年前の約1.5倍にものぼる。高齢者の就業率が右肩上がりのいま、シニア向け求人は多数あるが、だからこそ選び方を間違えると“働き損”にもなりかねない。
雇用に伴う制度について、「よくわからない」と人任せにするのではなく、正しい知識を持っておく必要がある。
例えば、定年退職の場合でも再就職の意思がある65才未満であれば「雇用保険の基本手当(以下、失業保険)」を受け取ることができる。「年金博士」ことブレイン社会保険労務士法人代表の北村庄吾さんが説明する。
「離職前2年間に12か月以上被保険者期間があることが条件です」
退職時の年齢によって金額が左右されることも知っておくべきだ。退職が65才より前なら失業保険の対象になるが、65才を過ぎると支給されるのは「高年齢求職者給付金」になり、金額が大きく異なる。可能なら、64才のうちに定年退職しておきたい。社会保険労務士の井戸美枝さんが言う。
「雇用保険の基本手当日額は最大7294円(60~64才)で、65才未満で20年間働いていた場合、失業手当としてそれが150日分支給されます。一方高年齢求職者給付金は50日分しか出ない。つまり100日分、約73万円を損することになるのです。
ただし職場によっては65才になる前に辞めると退職金が減る場合もあるため、事前に退職金規定の確認を」