春節休暇の海外旅行は昨年の国慶節と比べて1.5倍に
錦江ホテルの責任者は「ハルビン市では春節期間中の予約率が春節休暇30日前の段階ですでに50%を超えており、この内、3日連泊が20%を超えている」と発言しており、Club Med(地中海クラブ)によれば「1月30日時点で国内三大雪村の客室予約率について、長白山ではすでに90%を超えており、亜布力、北大湖では85%を超えている。春節期間に入ればいずれも満室になるだろう」などと予想している(2月2日、21世紀経済報道より、以下同)。
こうした旅行ブームは中国全土に広がりつつある。海南島の三亜旅行ホテル協会によれば「1月30日現在、春節期間における三亜の高級ホテルの平均予約率は81.7%に達し、前年同期と比べ3ポイント高い」そうだ。
一方、海外旅行はどうか。
ビザ取得など事前の準備が必要なことから、1月末時点で、春節休暇の状況はほぼ把握できるのだが、衆信旅行の関係者によれば「団体旅行について、団体数ベースでは2023年の国慶節休暇と比べ5割以上、出国者ベースでは45%前後増えている」ようだ。
日本については、タイ、シンガポール、マレーシア、韓国などと並び人気とはなっているが、旅行ビザ免除(相互免除)となっているシンガポール、マレーシアの伸びが大きく、そうした地域の出国者数は2019年の春節と比べ倍近い。イタリア、スペイン、フランスなどもビザ免除となっているが、いずれもホテル検索数などのデータで比較すると倍以上に増えている。
アニメの聖地に限らない。古代中国の息吹を感じさせる日本の古都、観光地の四季折々の美しさ、観光に携わる方々のきめ細やかなサービスなどは、中国の若者たちにも大きく受けるはずで、彼らが積極的に上げてくれるショート動画の威力は大きい。早期の旅行ビザ免除(日中相互免除)が実現すれば、日本のインバウンドもさらに活性化するのではないか。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うフリーランスとして活動。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」も発信中。