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【投資の終活】NISAで運用中に亡くなったら相続税はどうなるか? 口座の移管先と評価額の算出方法を解説

株や投資信託などの資産についても、残された人に向けての準備が必要だ(写真:イメージマート)

株や投資信託などの資産についても、残された人に向けての準備が必要だ(写真:イメージマート)

 新NISAで非課税期間が無期限化されたこともあり、株や投資信託などでの資産運用を続けるシニア世代も増えてくるだろう。では、運用中に亡くなった場合、保有資産はどのように扱われるのか。『世界一楽しい!会社四季報の読み方』などの著書がある個人投資家で株式投資講師・藤川里絵さんが解説するシリーズ「さあ、投資を始めよう!」。第79回は、「投資の終活」について。

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 今年からバージョンアップしたNISAでは、非課税期間が無期限のため、投資枠の範囲であれば生涯非課税で運用することができます。となれば、シニア世代でも十分に恩恵を受ける可能性が高く、利用を考えている人は多いことでしょう。気になるのは、「万が一のときにNISA口座内の資産はどうなるのか?」ということです。

株や投資信託の相続評価額の計算方法

 資産を相続する場合、その資産がNISA口座にあったとしても、残念ながら相続税の対象となります。NISAで非課税になるのは、あくまでも運用者が得る譲渡益や配当金にかかる税金であり、その資産を相続する人の相続税は非課税の対象ではありません。

 上場している株式や投資信託を相続評価額の計算は、

【1】死亡日の終値
【2】死亡月の終値平均
【3】死亡前月の終値平均
【4】死亡前々月の終値平均

 このうちもっとも低い価格を適用します。その適用価格に保有している株式数や投信の口数を掛けた金額が評価額となります。また配当金についても忘れてはいけません。もし配当を受け取る権利が確定する「配当基準日」に被相続人が生きていた場合は、配当支払日には亡くなっていても、すでに権利が発生しているので相続財産に含まれます。

 相続税は相続人が引き継ぐ財産の課税上の評価額を出し、相続財産の総額から基礎控除(3000万円+法定相続人の数×600万円)を差し引いたものが課税対象となります。たとえば引き継ぐ財産の課税評価額が5000万円で法定相続人が2人なら5000万円-(3000万円+2×600)=800万円となり、1000万円以下に対する税率10%をかけた80万円が相続税の総額となります。

 株や投資信託など値動きある資産を相続する場合は、市況によって税額が変わることになります。通常は、暴落など来てほしくありませんが、相続のタイミングでいえば、なくなる直近3ヶ月の株価は低迷していたほうが相続税に関しては有利になります。

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