営業許可を得ていない自家用車で客から運賃を受け取り乗車させているとして、社会問題を巻き起こしている「白タク」がガイドや通訳にまで手を広げたようなものだが、闇ガイドの跋扈には理由がある。
「中国人の日本での旅行先が多様化している一方、国内の田舎は公共交通サービスが乏しい。移動はタクシーがメインですが、タクシーを呼ぶにも日本語ができないとそれも不可能。中国語に対応できていない自治体や観光スポットは多いので、違法でも個人ガイドには一定の需要があるのです。
しかし運転の経験も不問で、正規のドライバーには義務化されているアルコールチェックもない。悪質な違法ガイドの車とバッティングすれば最悪、事故に巻き込まれる可能性もあり得ない話ではない」
同様の事情は闇レンタカーにもある。中国事情に詳しいフリーライターの奥窪優木さんが話す。
「ジュネーブ条約に加盟している国で運転免許を持つ人は、国際運転免許証を取得することで日本でも運転が可能になります。しかし、中国はこの条約に非加盟なので、日本では運転ができず、レンタカーを利用できない。
そのため、中国のSNSでは在日中国人による“同胞”向けの違法レンタカーが盛んです。正規のレンタカー業者と違い、相手の免許証の有無すら確認しないところがほとんどなので、中国人旅行者の無免許運転を助長することになる。事故の温床になっています」
昨年4月、岐阜県下呂市で中国からの男性旅行者が運転する車が対向車線にはみ出し、反対から走行してきた女性2人が乗る車と正面衝突する事故を起こしている。その後、女性2人は搬送先の病院で死亡が確認された。中国メディアによると、事故を起こした男性旅行者は無免許の状態だった。