2カ月連続でSQ週に日経平均の大台が1000円ずつ切り上がったことから、日経平均の先高感は強い。一方、英アームの株価上昇や決算などを材料に急騰したソフトバンクGが日経平均に与えた影響は大きく、NT倍率は昨年7月以来の14.4倍台まで拡大している。内田日銀副総裁の「マイナス金利解除でも緩和維持」を受けて、銀行株がさえなかったこともNT倍率拡大の背景にはあるが、ソフトバンクGなど偏った銘柄の急騰や先物主導などによる日経平均の上昇は「途転」の可能性もあることから注意したい。
為替の円安推移も注意したいところだ。昨年11月27日以来となる1ドル149円台に乗せたことから、政府・日銀による円安けん制発言に気を付けたい。既に9日朝方には、鈴木財務相が「株価と為替の動向を注視、金融政策運営に政府はコメントしない」と発言したほか、林官房長官も「昨日(8日)の内田日銀副総裁の発言は、1月の植田総裁発言と同じ内容である」とコメント。目立った円安けん制発言と市場は捉えていないが、今後、鈴木財務相や、為替介入の陣頭指揮を執る神田財務官の発言が増加する可能性がある。円安推移は輸出関連銘柄には追い風となるが、小売など輸入企業は向かい風だ。円安進行でインフレ加速となれば、日銀による「金融政策の正常化」に舵を切るタイミングが早まる可能性はある。
8日の内田日銀副総裁の発言など日銀が念入りな「地ならし」を行っている状況下、想定外の円安推移に対して早めの措置を講じるかもしれない。円買い・ドル売りの為替介入は2022年に151円90銭台水準で行われたが、「金融政策の正常化」という大きなテーマを考慮すると過去に行った水準より手前で為替介入を実施する可能性もあるだろう。
今週にかけて、国内は、15日に第4四半期GDP速報値、12月鉱工業生産(確報値)などが予定されている。
海外では、13日に英・1月雇用統計、独・2月ZEW景況感指数、ユーロ圏・2月ZEW景況感指数、米・1月消費者物価指数、14日に英・1月消費者物価指数、1月小売物価指数、1月生産者物価指数、ユーロ圏・第4四半期実質GDP(改定値)、12月鉱工業生産指数、15日に豪・1月雇用統計、英・12月鉱工業生産指数、12月製造業生産高、12月貿易収支、第4四半期実質GDP(速報値)、米・週次新規失業保険申請件数、2月NY連銀製造業景気指数、1月小売売上高、2月フィラデルフィア連銀景況指数、1月鉱工業生産指数、16日に英・1月小売売上高、米・1月生産者物価指数、2月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)などが予定されている。