老後の暮らしの頼みの綱である「年金」は、金額も受け取り方も千差万別。そこでお金の専門家である社会保険労務士やファイナンシャルプランナーたちに、自分たちは年金をどう受け取るのか、資産運用はどうやっているのかを聞いた。
働くことを前提に1年だけ繰り下げて増額
ブレイン社会保険労務士法人代表の北村庄吾さん(62才)は、「年金博士」としても知られる年金のプロフェッショナルだ。
「社会人になったのが20代後半だったので、厚生年金の加入期間が短く、受給額が人より少ないのです。そのため、私は1年だけ繰り下げて、受給額を増やそうと考えています。
幸い、今年で父は89才、母は100才になる長生き家系なので、自分も長く健康に働き続けられることを前提にした考えです。
40代の頃から株式投資による老後資金の準備も着々と進めてきました。投資といっても、株主優待と配当金狙いの安全性重視のものです。加えて企業型DC(確定拠出年金)を限度額いっぱいまで運用しています。
現役を引退して勤労収入がなくなってからは“お金に働いてもらうこと”が大切。70代になっても投資はやめません。新NISAも最大限利用するつもりです。
ただ、年齢を重ねてからの株式投資はリスクが大きい。徐々に投資対象を債券中心にしていこうと考えています。
年金制度はかなり頻繁に改正されるので、不安になるのは当然のこと。だからこそ、自分が受け取れる年金額を確かめ、同時にどんな老後生活を送りたいか考えることが大切です。この先、年金額の目減りは避けられないので、受け取り方を自分で工夫する。やはり『繰り下げ』で受給額を増やすのは1つの手段。65才以降は給与の一部を退職金と分けるなど、可能なら会社と交渉して給与を調整する方法もあります」