老後の暮らしの頼みの綱である「年金」は、金額も受け取り方も千差万別。昭和女子大学総長を務める坂東眞理子さん(77才)が、今の時代、年金とどう付き合うべきか、語ってくれた──。
「国家公務員共済に34年、私立学校共済には20年加入していました。年金は最大の75才まで繰り下げています。とはいっても、受け取っている金額は少ない。大学やほかからいただくお給料があるので、支給額に調整が入っているのです」
そう話す坂東さんは2019年に『70歳のたしなみ』がベストセラーとなった。坂東さんは、東京大学卒業後、1969年から官僚として勤務し2003年に退官。昭和女子大学教授を経て現在は同大学総長を務めている。
自身の受け取る年金額は「ほんのわずか」だと話す坂東さんだが、たとえ少額であっても、年金保険料を納め、しかるべきときに受け取る重要性を強く感じているという。
「年金はいわば国のお墨つきの制度であり、物価にスライドしています。特に厚生年金は雇用主が掛け金の半分を出してくれているわけですから、かなりおいしいシステムなんです。
そう遠くない将来、年金制度は崩壊するという言説もありますが、それを信じて年金保険料を納めないのは、とてももったいない。年金は老後の暮らしに必要な『有形資産』の大切な柱の1つです」
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