エクストレイルのeフォースの車重は1880kgと比較的軽量。全体の動きはレスポンスがいい上に、高い安定感を伴った走りによって、車がひとまわり小さく感じるほど。もちろん走行音も静かであり、上質さのレベルも高いと言えます。オンロードで走らせる4WDとして満足度はかなり高かったのです。もちろん、そんなエクストレイルのeフォースを滑りやすい氷上や雪上で使うことにも、特別な不安はありませんでした。
なにより装着タイヤはブリヂストンの「ブリザックVRX3」。個人的な感想ですが、国内で使用するには、もっとも正確なコントロールを可能とするスタッドレスタイヤだと思います。このスタッドレスタイヤと、最新の電動4WDテクノロジー、eフォースの組み合わせとなれば、その安定感はどれほどだろう、と期待値は高まるばかりです。
雪上でも自然で静か
実は日産による女神湖での試乗会は「氷上」が基本でした。しかし今年は暖冬ということもあり、氷が思うほどの厚さにならず、急遽「雪上試乗」へと変更になったのです。本来ならば、まるでスケートリンクのように磨き込まれた氷上で「非日常」の滑りやすさ、制御の巧みさを試せるはずでした。それでも今回は、ドライ路面から圧雪路や深雪、そしてシャーベット路面など、冬期の試乗ならではの条件が揃っていました。むしろ「日常的な状況」での試乗は、eフォースの実力を見るにはちょうど良かったのかもしれません。
さて最初に感心したのはブレーキングです。前後のモーターとブレーキの総合制御により、ボディの挙動が少なく、フラットに制御されるのです。一般的にはブレーキを掛けると前につんのめるような挙動を見せます。これを制御により可能な限りフラットな姿勢を保ちながら減速できます。こうした独特のフラット感は加速時やコーナリング時、そしてドライ路面から雪上へと変わっても維持され、乗員のストレスも軽減してくれます。
こうした制御によって、もっとも安心できるのは雪上でのコーナリングです。走行時の適切な駆動力をつねに算出し、「前後のモーターの駆動力と、左右の回生ブレーキ」を自在に制御します。当然ですが、コーナーの外側に出ようとすればモーターによる駆動力と回生ブレーキを巧みに調整しながら、安定方向に持っていってくれます。この高いグリップ感によって安心感はかなり高くなるのです。
本格派4WDを自認する「エクストレイル」の走りには、この安定感のあるeフォースは、実にいい組み合わせだと思いました。どんどんとアウトドアフィールドへも入っていけるでしょうし、今回のような突然の降雪にも実力を存分に発揮してくれるはずです。
しかし、言わずもがなですが、ためらいもなく走ってくれる、良くできた4WDシステムに心強いタイヤという組み合わせを慢心することがもっとも危険です。雪国に行くときもそうですが、東京など雪に弱いエリアでは、周りの車がフラフラ、ノロノロと走っています。そんな状況下で4WDが我がもの顔に走ればリスクは増大するばかり。そんな時こそゆとりを見せ、通常の8割以下の速度で走り、安全運転に努めれば、eフォースの安心度はさらに向上することになります。
そして今、少々残念なのは、eフォースを搭載するもう1台の存在、アリアです。世界的な半導体不足による部品調達の遅延や不安定な世界情勢を受けたサプライチェーンの停滞や混乱等により、アリアの車両供給に多くの制約が出ています。せっかくのeフォースですから、アリアでも体験したいものです。