「子供2人で月1万円だよ?」
都心から電車で2時間以上離れた千葉での暮らしを満喫していたアリナさんだったが、先日新居に遊びに来た友人から予期せぬことを言われてしまいモヤモヤが残ったという。
「『018サポートもらえなくなっちゃって、もったいないよ』『子供2人で月1万円だよ? 都内で引っ越せばよかったのに』と言われたんです。その意見もよくわかるのですが、子供の将来のこと、生活にかかるランニングコストなど色々と考えた上での決断だっただけに、友人の一言はすごく引っかかったんです」
そこから「018サポート」給付金の使い途をめぐって、アリナさんは友人との金銭感覚、価値観の違いをまざまざと見せつけられたという。
「今も都内に住む友人は支給されたお金を『家族とのレジャー費に充てる』と話していました。もし私がもらえる立場だったら、真っ先に子供の将来の学費に貯金すると考えていたので、その余裕がすごく羨ましかったです」
さらに友人は今後行ってみたい宿リストやレストランの情報を語ったという。必ずしも全てが高級な宿・レストランではなかったが、家族連れで頻繁に行くにはハードルが高いところばかりだったそうだ。貰ったお金で行くとは明言せずとも、「子供が大きくなるまでは都内にいなくちゃ!」と話していたという。
「ウキウキしながら話す友人……。この人は『018サポート』がなくても困らない家庭なんじゃないかと思ってしまいました。子育てにはすごくお金が掛かるし、この先もいくらあればいいのか不安なのは、子育て世帯共通の悩みだと思い込んでいましたが、そうではない人が身近にいたことに衝撃を受けました。我が家は生活をダウンサイズしようと東京を出ましたが、このような考えはごく一部なのでしょうか……」
その友人とは付き合いが長く、共通点も多かったと話すアリナさん。今回の件をきっかけに、「この先、付き合いたくても付き合えない存在になっていきそう」と少し寂しそうだった。
収入事情によって生活水準は大きく違ってくる。アリナさんの友人のように018サポートをお小遣いのように考えている家庭ももしかしたらあるのかもしれない。家庭の経済状況によっては「月5000円」は微々たるお金かもしれないが、本来は〈子供の成長のため〉のお金であることを忘れないでほしい。
【プロフィール】
吉田みく(よしだ・みく)/埼玉県生まれ。大学では貧困や福祉などの社会問題を学び、現在はフリーライターとして人間関係に独自の視点で切り込んでいる。マネーポストWEBにてコラム「誰にだって言い分があります」を連載中。同連載をまとめた著書『誰にだって言い分があります』(小学館新書)が発売中。