派閥の研修会の実態は“慰安旅行”
今回の一連の裏金事件を受けて、議員にも違法行為の連帯責任を負わせる「連座制」の導入が議論されているが、政治家も自身の指揮命令下にある秘書や会計責任者などが罪を犯したら連座させるように、抜け穴だらけの政治資金規正法を改正すべきである。
また、派閥はカネとポストを差配するだけでなく、人材育成も行なっていると言われていたが、実際には人材育成の仕組みや機能は全くない。
それは麻生副総理(当選14回)の上川陽子外相に対する「おばさん」「美しい方とは言わない」発言や谷川弥一衆議院議員(当選7回)の取材記者に対する「頭悪いね」発言などを見れば明々白々で、政治家どころか社会人としての基本的な常識さえも欠如している議員が少なくないのが実情だ。
各派閥は夏季に軽井沢、箱根、山中湖などの避暑地や派閥ゆかりの地で泊まりがけの研修会を開いていたが、研修会とは名ばかりで、その実態は1日目の夜が懇親会、2日目がゴルフなどのレジャーを楽しむ“慰安旅行”でしかなかった。
自民党には政務調査会の傘下に分野(省庁)別の14部会があるが、それは党としてどのような政策・法案を打ち出すかを議論する組織であり、人材育成が目的ではない。党本部の「中央政治大学院」や47都道府県支部連合会の「地方政治学校」という機関も目的は候補者発掘で、議員の教育は行なっていない(3月から中央政治大学院で政策講義を定例開催すると報じられたが、遅きに失している)。
私が知る限り、自民党だけでなく立憲民主党や国民民主党にも人材育成の全体的・総合的な仕組みはない。日本維新の会は国政選挙や地方選挙への候補者擁立を目指して人材育成を進める方針を打ち出していたが、それが今日まで持続的に機能しているようには見えない。組織的に人材育成を行なっているのは(内容はよくわからないが)公明党と共産党ぐらいだろう。