中国のグローバル経済への参加で日本経済の地盤沈下が進んだ
1990年当時の日本は米国に次ぐ経済大国であり、世界でも最強クラスの国際競争力を誇る国家であったが、現在は残念ながら衰退が著しく、回復の兆しも見られない。では逆に、当時と比べ劇的に改善した点はないのだろうか。その観点から、米国の対日政策に注目したい。
国際的に活動する銀行の自己資本比率、流動性比率などに関する統一基準(バーゼル合意)が日本で本格的に適用されたのは1992年度からだ。いわゆるこのBIS規制が一部の有識者からは欧米による対日抑圧政策の一環であったといった指摘もあるが、このBIS規制が大きな制約となり、バブル崩壊の加速、後始末の遅れを招いてしまったと言えよう。加えて、1990年代から一段と激しくなった米国による円高(ドル安)圧力、半導体、自動車産業への抑圧的な政策なども、日本経済の発展を抑止する方向に強く働いた。
半導体、電機産業では、日本の衰退と反比例するかのように、台湾、韓国が台頭した。2021年に中国が正式にWTOに加盟すると、米国は中国をいわゆる製造業における下請け先として積極的に利用するようになった。その結果として、日本、台湾、韓国が高い技術力を必要とする素材、部品を中国に供給し、それを中国が国産の一般素材、汎用部品などと組み合わせ豊富な労働力によって加工し、世界各国に供給するといった大きなサプライチェーンが形成された。つまり、米国が中国のグローバル経済への参加を支持し、後押しした結果として、相対的に日本経済の地盤沈下が進んだと言えよう。
トランプ前大統領は中国とのデカップリングを進めた(左は習近平主席。Getty Images)
鍵を握るのは米国による対中デカップリング戦略
しかし、2012年に習近平体制が発足すると、中国が国際協調を壊すような戦略、具体的には下流側、上流側でも世界トップを目指すような戦略を打ち出し始め、中国に対する警戒感が欧米に広がった。トランプ前大統領が2018年に中国に対して懲罰的な関税をかけ、その後、対中投資の制限、半導体をはじめとした先端技術の輸出制限などを始めたことで、中国とのデカップリング、デリスキングが進み始めた。
2012年と2021年以降、2段階にわたり輸出に有利となる円安トレンドが発生、現在の日本は、米国によるデカップリング、デリスキング戦略において、中国の役割の一部を代替することが期待されるまでにその立場を変えている。結果的に、米国の対日政策が日本の発展抑止から発展推進に変わったのである。
2019年からバフェットは日本の商社株を買いはじめ、2023年には業績好調な中国の自動車企業・BYD株を売ったことがこの転換をよく象徴している。
この先、米国による対中デカップリング、デリスキング戦略がうまくいくと予想するならば、日本企業の復活はこれからが本番となる。日本株の先行きは明るいということだ。