“ニセコバブル”とも称される北海道・ニセコでの物価高騰が話題になっている。冬のスキーシーズン中、多くの海外観光客が訪れる飲食店の看板には、「おにぎり1個1000円」、「天ぷらうどん2000円」などとある。ただ、現地住民はこうした値段設定よりも、海外観光客の出すゴミや素行の問題に頭を悩ませているようだ。盛り上がるニセコバブルの裏で何が起きているのか──。
「知り合いが酔っ払いに車を蹴られた」
X(旧ツイッター)でニセコの情報発信を行なっている「もりりん」さんはニセコに住み始めて3年目。現地の状況についてこう話す。
「最寄りの倶知安駅はごく普通の街並みなのですが、車を15分くらい走らせてニセコに入ると、雰囲気がガラッと変わります。お店の看板はほとんど英語だったり、歩いている人は全員外国人だったり。ほぼ海外という印象です。
また、飲食店が少なくて海外観光客の数に対応しきれないため、フードトラックがたくさん稼働している。半径1キロぐらいの中に60~70台くらいが密集しています。夜は海外観光客でごった返していて、ラーメン、牛丼、カツ丼、ピザ、うどん、そばなど、なんでも売られています。最近は、昔懐かしの石焼き芋の販売車も走り始めました。普通『いしや~きいも~』と音声がかかると思うんですけど、それを海外チックにアレンジさせた音を流しながら走っていました」
やはり、驚かされるのはそうした飲食業態の価格設定だ。もりりんさんが続ける。
「値段はあり得ないほど高くて、僕が働いている日本食レストランでもラーメンは1900円くらいで売られています。ちなみに、石焼き芋の販売車の値段は見なかったんですが、フードトラックでは石焼き芋が1本1000円とかで売られていますよ。
でも、生活面では、物価の高さにはそんなに困っていません。バイトの時給も平均で大体1500円くらいですし、車を少し走らせれば、普通の価格帯で商品を売っているスーパーやコンビニ、飲食店がある。フードトラックで買うことはありませんから」