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個人投資家がTOPIXを上回るアクティブファンドを見つけるのはなぜ困難なのか 「伝説のトレーダー」清原達郎氏が解説

800億円を超える個人資産を築いた投資家・清原達郎氏(C)野口博

800億円を超える個人資産を築いた投資家・清原達郎氏(C)野口博

あてずっぽうにアクティブ運用を選ぶと確率的にパッシブ運用に負ける

 パッシブ運用以外は全部アクティブ運用です。個人投資家の方がトヨタを1株買ったとするとそれもアクティブ運用です。TOPIXとパフォーマンスが一致しない運用は全部アクティブ運用といってもいいでしょう。A社はTOPIXのウエイトに従って銘柄を買って持っているだけです。従ってリサーチのコストは一切かかりません。一番売買手数料の安い証券会社に買い注文を出すだけです。

 それに対しB社、C社はトヨタ、日産どっちをいっぱい買ったらいいのかリサーチをして決めています。それぞれのリサーチの結果、B社はトヨタをオーバーウエイトにしたのに対し、C社は日産をオーバーウエイトにしました(オーバーウエイトというのはTOPIXのウエイトより大きいウエイトになるということです。その反対がアンダーウエイトです)。

 アクティブ運用はリサーチのコストがかかるので運用フィーがパッシブ運用に比べて格段に高くなります。日本株のアクティブ運用なら最低1%はかかります。それに対しパッシブ運用のフィーは0.1%程度ですから大雑把にゼロと置いてアクティブ運用とパッシブ運用では運用フィーで1%程度の差があると考えてください(株式の売買手数料もパッシブ運用のほうが安いのでトータルでは1%以上の差になります)。

 さてここからが本題です。B社の成績はTOPIXを上回りましたがC社は下回りました。ではB社のファンドとC社のファンドに同額投資していた投資家はどうなるでしょう。結果は明らかにTOPIXと同じ+50%になりますが運用フィーを入れると+49%のリターンとなります。つまりパッシブ運用以外のアクティブ運用のファンドを全部足すとパッシブ運用になってしまうのですが運用フィーの1%分、絶対にパッシブ運用に負けるのです。ということはあてずっぽうにアクティブ運用のファンドを選ぶと確率的にパッシブ運用に負けるということです(厳密にいえば下げ相場で株式にフルに投資せず現金を持っていればアクティブ運用全体でTOPIXに勝つことはできますが、もし上げ相場になった時その分まるまるTOPIXに負けます)。

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