1954年のJAL国際線就航から70年が経つ。記念すべき年に同社はハイテクな新型機エアバス「A350-1000」を羽田─ニューヨーク線に導入する。2004年就航の「ボーイング777-300ER」の後継機で、同社の国際線の主力機導入は20年ぶりのこととなる。進化を遂げた新型機を取材した──。
今から70年前の1954年2月2日、同社は戦後初の国際定期航空便を開始した。羽田からサンフランシスコまでは片道30時間を要した。長い移動時間も旅の一部として、現在とは異なる絢爛なもてなしが提供された。
最初に就航した36人乗りの「DC-6B」は全席がファーストクラスという設定。最高級の西洋料理をはじめ、東洋料理の提供もあったという。
1960年には初のジェットエンジンを搭載した「DC-8-32」が就航。席数はファーストクラスが36席、現在のエコノミーに相当するツーリストクラスが68席と大幅に増設された。操縦席とファーストクラスとの間には純和風のラウンジを設置し、北米や欧州の利用者を想定したサービスをより一層充実させた。
1970年には「ジャンボ」の愛称で親しまれた「ボーイング747」を導入。輸送量が大幅に増加し、空の旅の大衆化が進んだ。2000年代に入ると、さらなる大量輸送や輸送速度と燃費の効率化が図られるようになった。
こうしたなか導入されたのがエアバス「A350-1000」。最大の特徴は低燃費だ。従来機はニューヨークまでドラム缶800本分の燃料を積載していたが、同機では約200本分が軽減され、二酸化炭素の排出量を25%削減できる。時代に合わせた脱炭素の機体で、搭乗者のより高い満足度を目指す。