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【臆病者のための投資術】日経平均が4万円を超えても「日本人が日本株に投資する理由はない」

日本人の資産は「日本円の比重」が過剰

 そんななか、日本人はどのように資産形成していけばいいのだろうか。「高値掴みが怖い」と感じ、投資に二の足を踏む“臆病者”も増えていることだろう。しかし、リスクを取らなければリターンは得られない。

 第一のポイントは、「日本人が日本株に投資する理由はない」だ。とはいえこれは、日本の将来を悲観しているのではなく、日本人の資産ポートフォリオにおける「日本円の比重」が過剰だからだ。

 日本ではほとんどの人が日本円で給料をもらい、円で預金して、マイホームを買っている。投資でもっとも重要なのはリスク分散だから、これ以上、日本円のリスク資産を増やすのは逆効果だ。

 そもそも日本の株式市場の時価総額は、世界市場の5%程度しか占めていない。日本株だけでポートフォリオを構成すると、投資でもっともやってはならないとされる「タマゴをひとつのカゴに盛る」になってしまう。

 では、いったい何に投資すれば良いのか。合理的な結論は「世界市場全体の長期的な成長」に資金を投じることだ。世界的な株高を背景に日本株も上がっているわけで、世界市場が下落しているのに日本株だけが上がるシナリオは考えにくい。だとすれば、投資先は「日本」よりも「全世界」になるだろう。

第2回に続く

【プロフィール】
橘玲(たちばな・あきら)/1959年生まれ。作家。国際金融小説『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』などのほか、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『幸福の「資本」論』など金融・人生設計に関する著作も多数。近著『世界はなぜ地獄になるのか』(小学館新書)がベストセラーに。

金融・人生設計に関する著書を数多く持つベストセラー作家の橘玲さん

金融・人生設計に関する著書を数多く持つベストセラー作家の橘玲さん

※週刊ポスト2024年3月22日号

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