目の当たりにした“派遣切り”
金融機関に勤める女性・Bさん(50歳)は、あえて“非正規”を選ぶ若者の存在を肌で感じているという。
「大学生の息子がいるのですが、話を聞いていると『残業したくない』『縛られるのがイヤ』などという理由から、先輩たちにも派遣を選ぶ人がいるそうです。氷河期世代にあたる私は採用の枠さえない時代で、特に女性は本当に仕事がありませんでした」
Bさんはなんとか金融機関の一般職として採用されたが、「どの企業でもいいから、総合職で働きたかったのが本音です」と振り返る。
「一般職というのはつまり事務職で、金融機関では女性が多く採用されていました。他の企業では、一般職という職種そのものを廃止し、代わりにそうした事務仕事は派遣社員に任せるといった方向にシフトしていったと思います。
私は大学受験も頑張って英語系の学科に行っていたので、英語を使ってバリバリ働く自分を想像していたんです。でも、どこも採用枠が全然なくて……」(Bさん)
Bさんは、派遣社員として社会人をスタートした同級生について言及する。
「私は女子大で、同級生では就職では総合職で決まった人もいれば、一般職も派遣もいました。否応なく派遣社員になった人は、その後のリーマンショック時に“派遣切り”に遭いました。そういう状況を目の当たりにしてきたので、選べるなら正社員に越したことはないと思ってしまいます」(Bさん)