スポーツスニーカーの技術を転用
認知度を一気に押し上げたのが、アシックスが2019年に発売したBOAフィットシステムを搭載したプロスニーカーだった。
五十嵐氏らプロダクトチームは足繁く現場に通い、エンドユーザーの話を聞くことで、スニーカーの履き心地や機能性の向上を図っている。
「例えば内装工事などの現場では、靴の脱ぎ履きが多い。だから紐を緩めて履いている職人さんもいらっしゃる。それが転倒事故に繋がることもあるんです。BOAフットシステムは、ダイヤルを回すことでワイヤーが締まり、靴と足のフィット感を簡単に調節することができます。脱ぐ時はボタンを押せばワンタッチでワイヤーが緩む。脱ぎ履きが楽だし、フィット感も万全なので、事故防止に繋がる。このBOAフィット搭載のスニーカーがヒット商品となりました」(五十嵐氏)
その他、通気性や軽量化、また踵の部分につかわれているGEL素材など、同社がスポーツシューズで培ってきた技術がプロスニーカーにも転用されている。
「工事現場で最も多いのは転倒事故です。これを防ぐには、足元のバランスが重要です。弊社のプロスニーカーは、つま先の耐衝撃性を担保するために、ガラス繊維樹脂を採用しています。鉄よりも軽いので、スニーカーの前後のバランスがよく、好評を頂いています」(同前)
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