実年齢よりも若く見られたいという意識はむしろ低下
美容ジャーナリストの近藤須雅子さんも「実年齢よりも下に見える」が褒め言葉である時代は、遠ざかりつつあると声を揃える。
「もちろん、エイジングケアは美容分野の主流であり、シミやしわ、たるみを予防・改善できる方法が発達している一方で実年齢よりも若く見られたいという意識はむしろ低下しています。
60代ならば“40代に見える60代”ではなく“カッコいい60代”がいまの理想のスタンダード。実際、ハイブランドの化粧品になればなるほど“若見え”を喧伝することはなく、年を重ねた美しさをアピールする。
例えばディオールの最も高価なラインは50才目前だったシャロン・ストーン(65才)をイメージキャラクターに起用し、その後長きにわたって若さと美しさはイコールではないという価値観を発信しました」(近藤さん・以下同)
国内でも、宮沢りえ(50才)が資生堂の高級美容液ブランドのアンバサダーとして活躍している。
「美容情報を発信・販売する担い手も同様であり、アルビオンには70代や80代の女性販売員がいますし、ポーラでもシニア層が積極的にビューティーディレクターとして活動しています。ラ・プレリーやシスレーといった高級化粧品ブランドにも50代のビューティーアドバイザーが在籍している。
このトレンドは今後定着し、“年齢を重ねた女性としての美しさ”がじわじわ浸透すると思われます」