新潟県糸魚川市で昨年12月22日に発生した大火災。死者こそ出なかったものの、約4万平方メートルが焼け、約150棟の家屋が焼失した。あれから1か月たった今もなお、現地は焼け焦げた瓦礫が無残な姿を晒している。
出火元はまだ特定されていないが、中華料理店の鍋の空焚きの可能性が高いという。もしもそうだとしたら、この中華料理店に損害賠償が生じそうなものだが、法律上はそうなってはいない。木造住宅が多い日本では、火元になった当事者は「失火の責任に関する法律」(民法709条)で守られ、重大な過失があると認められない限り、賠償責任を問われないからだ。
つまり、隣家からもらった火で自宅が焼けても、建て直しや修繕の費用は自分で負担するしかない。それに備えるのが火災保険だ。
「糸魚川市の燃えさかる光景を見て、“もし自分の家だったら”とゾッとしました。慌てて家にある火災保険の証書を見てみたら、ローンを完済した時に切れていた。すぐに加入し直しました」(60代女性)
火災は冬に急増する。そのうえ地震や津波のほか、大雪やゲリラ豪雨による洪水など、地球温暖化とともに異常気象による自然災害も増えるばかりだ。