また、大学のゼミの新入生を育てずに、この世を去るのも心残りでした。そうした動機がなければ、恐らく保険適用の標準治療を続けていたでしょう。
ちなみに、もうひとつ前言を撤回しなければならないことがあります。以前の取材では「医療保険やがん保険に入ったことがない」と申しましたが、会社が私にがん保険をかけていたことがわかりましてね(笑)。でも、会社に入った保険金で私の治療費を払うと「横領」にあたるらしく、1円も使えない。ひどい話です。
いずれにせよ、闘病は半年以内に決着するでしょう。無事、新刊はベストセラーになり、今後がんの原発部位がわかれば私も標準治療に戻すつもりです。自由診療の治療費は、著書という“遺書”を残すために支払ったコストと考えています。
※週刊ポスト2024年3月29日号