日本人の2人に1人が罹患する「がん」。しかし、その情報は「治療」に関するものが大半で、「費用」については乏しい。もしものときのために、治療にどれくらいのお金や時間がかかるのかについて、知っておくべきことは多いはずだ。
掲載の表は罹患率、死亡数が多いがんについて部位・ステージ別に公的保険が適用される「標準治療」や「入院日数」、「総額治療費」などを一覧にしたものだ。年間35万人超の外来患者数を誇る日本最大規模のがん治療の拠点・国立がん研究センター中央病院の診療データ(2020年度)を元に作成した。
部位を問わずステージIでは「手術」が、ステージIVでは「化学療法」(抗がん剤)が治療の主な選択肢になることが分かる。
初期に発見できれば手術でがんを取り除いて治癒を目指すが、進行すると化学療法を中心に行なうのが一般的ながん治療となっている。
一方、部位ごとに「差」が出るのが治療費だ。別掲の「主な8つのがんのステージ別治療費」の表を監修した医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が言う。
「厚労省の統計によると、がん治療にかかる1件あたりの平均医療費は、入院の場合で約24万円(※自己負担3割の場合。以下、治療費は注釈のある場合を除いて全て自己負担3割の数字)、通院治療で約2万円となっていますが、あくまで全体を通しての平均値です。この数字はがんの部位やステージ、入院日数、公的保険の自己負担割合などによって大きく変わってきます」