デパートや百貨店で販売されているコスメ、通称「デパコス(デパートメントコスメ)」は、ドラッグストアなどで販売されている化粧品に比べ高品質を売りにしており、その分、高価格帯であることが多い。シャネルやディオールなど憧れのブランドのコスメを購入して満足感に浸ったり、クリスマスコフレなどの季節限定の商品を手に入れるべく奮闘する消費者も少なくないようだ。
しかし、やはりネックになるのが価格帯だ。ブランドイメージにくわえ、デザイン費や広告費、さらに研究開発費や輸送コストなど、さまざまなコストが加わり、アイシャドウでも5000円超え、ファンデーションは1万円弱(高いものでは数万円)するものも珍しくない。さらに帝国データバンクの調査によると、原材料の価格高騰に加え、円安による輸入コストの増加などで、2023年4月時点で、前年から値上げしたデパコスブランドは約4割、値上げされた商品数は2389に上っているという。
ステイタスとしてデパコスを愛用している人たちも多いだろうが、最近では「デパコス離れ」する人も増えているという。ここ数年で、デパコスを減らしているというアラサー女性たちのリアルな声を聞いた。
「20代の頃はブランドロゴが欲しかった」
デザイン会社に勤務するAさん(35歳女性)はこう語る。
「30代になってから、自分の洗面台から徐々にデパコスが消えていくのを実感しています。昔は化粧水、乳液、クリームとすべてブランドで揃えないと気が済まなかったんです。20代後半の頃なんて、ニキビに悩まされていたときに、百貨店の某ブランドのBA(ビューティーアドバイザー)さんに言われたとおり、同じブランドのライン使いで揃えていました。基礎化粧だけで4万円くらいするのに、2、3ヶ月でなくなり、必死でお金を工面して買い続けていました。でもニキビ肌はよくならなかったんです。
30代になって、現実的に貯金について考え始めた頃、皮膚科に行ったところ、『安いものでも効果はあるから刺激の少ないものにするように』とアドバイスされれました。それでドラッグストアのものや無印良品のものを使うようになったんですが、それが私の肌に合っていたのか、ニキビもよくなって、『いままでやりすぎだったのかも?』と実感したんです。
20代の頃は効果よりも、ブランドロゴがついているものが欲しかったんですね(笑)。いまではそこで見栄を張ることもなくなって、よかったと思います」