約2年の受験勉強で東大に合格
そこから仕事をしながらの受験勉強が始まる。
「私の場合、多くの受験生のように、今年必ず合格しなければ、といったプレッシャーがありません。受かるまで何度でも受けよう、でもやめたくなったらやめよう、と思っていました。自分のことなので自由に決めていいんですよね」
佐々木は仕事の合間の数分も無駄にせず、自信がある英語以外の教科(数学、現代文、古文、漢文、日本史、地理、理科)をいちから独学で勉強し始めた。
「私的なことで仕事に迷惑をかけるわけにはいきませんから、受験することはほとんど誰にも話しませんでした。勉強は仕事の合間や帰宅後に。余裕がなくてできない日もありましたが、そんな日もあると割り切って、できるときにできるだけやりました。やりたくて始めたことなので」
こういった気持ちの余裕こそ、大人の学び直しの利点ともいえる。結果、約2年の受験勉強で東大に見事合格。46才で大学生活が始まった。
朝8時30分から1限に出席、一度退出して仕事。午後はまた大学に戻るといったハードな生活となったが、毎日が充実していたという。
「東大は学びたい学生を応援してくれます。他学部の授業を受けたり、学祭や飲み会にも参加しました。じっくり学びたかったので、仕事の合間に少しずつ単位を取り、休学を挟んでトータルで7年間在籍しました」
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