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「本当のことを書いたのに…」生徒・教師らが明かす「合格体験記」のリアルな内幕 検閲の実態、明らかな盛り、役立つ活用法

依頼側が「書いてほしそうなこと」を書いてくれる生徒

 塾業界歴は20年以上で、現在は神奈川県で進学塾を経営するNさん(40代/男性)は、“検閲する側”だ。

「合格体験記を頼む生徒たちには『自由に書いて』と言いますが、そのまま載せるわけにはいきません。よくあるパターンは、『すごく勉強した』か『これだけしか勉強しなかった』か、どちらか極端に書いてしまうもの。辛い受験生活を思い出して、自分を美化しちゃうんです。

 もちろんそのまま載せるのもアリですが、以前、合格体験記を読んだ受験生がその大学生に家庭教師をしてもらうことになり、合格体験記の内容が大ウソだったことがバレてトラブルになったことがありました。それ以来、“明らかに盛ったな”という部分は削ったり書き直してもらったりしています」

 都内の高校で教鞭を取るYさん(50代/男性)は、あけすけに「書いてもらう側」の内情を明かす。

「言い方は悪いですが、合格体験記を書いてもらうにあたって、“こちらが書いてほしそうなことを書いてくれる生徒”、つまり“分かってる子”が選ばれがちなのは当然のなりゆきです」

どうしても“盛ってしまう”傾向

 10年ほど前、難関の国家試験に合格したNさん(40代/男性)は、自分の合格体験記についてこう振り返る。

「合格に浮かれて合格体験記の依頼を受けてしまいましたが、振り返ると普通の勉強しかしていないんですよ。誰もが使うテキストを使い、平均的な量の勉強をして、人並みの受験回数で合格しただけ。けど、それでは合格体験記が成立しないので、『仕事が終わってから予備校に通い…』とか『子育てをしながら…』とか、一生懸命ドラマティックなエピソードをひねり出しました。ただ、文字にすると凄そうに見えるけど、大なり小なり、みんな似たようなものじゃないですか」

 根っこにあるのは「当たり前のことを書いても面白くない」というサービス精神だが、中には酷いものも存在する。前出・Nさんは、塾業界の“闇”について語る。

「ライバル校の折り込み広告は必ずチェックしますが、かなり昔の東大合格者の体験記を何年も使い回しているのを見たこともあります。本命に受かったのに第2志望や第3志望に落ちた子が、見栄を張って『全部受かった』と書くのもありがちですね」

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