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大学の現役事務職員が明かす「ざんねんな大学教員」のリアル 学生提出のレポートを紛失、出席してない学生に「A+」をつけるトンデモ事例まで

「ファスト化」した大学では何が起きている?(イメージ)

「ファスト化」した大学では何が起きている?(イメージ)

 新年度を迎え、全国の大学キャンパス周辺には新入生の姿が目立つ季節となった。勉学やサークル活動、その先にある就職活動などへの期待と不安に胸を膨らませている学生は少なくないだろう。だが、大学側がそんな新入生の期待にどこまで応えられるのかは、疑わしい面もある。今の大学は「早く手軽に卒業するだけのファスト・サービスと化した」と指摘するのは、新刊『ファスト・カレッジ』が話題の現役大学職員、高部大問氏だ。その傾向は学生を指導・教育する立場の教員にも顕著だという。高部氏が日々直面する「ざんねんな大学教員」のリアルを赤裸々に綴る。

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 私の所属する大学は小規模な私立文系の大学ですが、それ以外にも、偏差値でいえば上から下まで、分野でいえばド文系からバリバリの理系まで、設置区分でいえば国公私立を問わず、少なくない大学教員と接してきました。

 10年くらいコンビを組むと、夫婦でも漫才師でも、互いの様々な面が見えてくるものです。本性や見たくない一面を含めて。私は大学に事務職員として10年間勤務していますが、相方である教員の色々な顔を嫌というほど見てきました。

 素晴らしい先生方がいらっしゃる一方、真逆の先生方も少なくありません。後者に共通しているのは、「お坊ちゃん」という性質です。性差別しないようフェアにいえば、「お坊ちゃん」と「お嬢ちゃん」なのですが、まだまだ男性教員の方が多い業界ですので、便宜的に「お坊ちゃん」と表記させてください。

「お坊ちゃん」とは何か。スペインの哲学者・オルテガの『大衆の反逆』(ちくま学芸文庫)によれば、「『お坊ちゃん』は、家の外でも家の内と同じようにふるまうことができると考えている人間」であり、「自分の好き勝手にふるまえると信じている」人間です。

「学生スタッフの出来がイマイチですよね」

 たとえば、研究費のほとんどを旅費に費やしたり、学生募集のための高校訪問と称して実家に帰省したり、論文も書かず少人数演習も大して行わなかったり。こうした大学教員は1人や2人ではありません。

 特に質(たち)が悪いと思うのは、学生のせいにする教員です。「学生の聞く態度がなっていないから私は教えられない」などは常套句。学生側に学ぶ気があって初めて教員側は教える気になれる。さながら取引です。私の教育力不足ではないですよ、彼らの学習力不足ですよ、という予防線を張るわけです。

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