2023年度入学の大学生たちは、4月から新しい生活がスタートする。大学でもコロナ明けのムードが広がっており、オンライン講義から対面講義への全面切り替えや、マスク着用が任意になった大学も多い。しかし、大学という場所に広がっているのは輝かしいキャンパスライフだけではない。大学生をターゲットにした“危険な誘惑”があらゆる方向から迫っている。
具体的にはどのようなものがあるのか? 大学で教鞭をとる教員たちが、実際のトラブル・相談事例などを踏まえて、新入生が大学生活で注意すべきリスクについて指摘する。
「勉強会」「自主ゼミ」カルト団体やセクトからの勧誘
「まず新入生が注意してほしいのが、カルト団体や政治的なセクトからの勧誘です。そうした団体が、最初から自分たちの正体を明かすことはありません。よくあるのは『勉強会』『ヨガのレッスン』『就職勉強会』『留学のための自主ゼミ』『インカレサークル』といった形で近寄ってきて、連絡先を交換するパターンです。
こうした団体は親元を離れ、知り合いが少ない新入生を狙っています。『友達がいない、寂しい』という心を利用しているわけです。知り合いのいない状況での初めての一人暮らしの寂しさを紛らわすため、とにかく早く友人や知人を作ろうと焦ってしまうと、落とし穴にハマってしまいかねない。まずはしっかりと大学で学び、そのなかで少しずつ教員や学生との人間関係を構築していきましょう。“何段飛ばし”で人間関係は築けないことを、肝に銘じてほしいです」(50代/私立大学教員)
「#春から○○大学生」のタグから個人特定
「新入生に一番注意してほしいのは、SNSトラブルです。『私はSNSに本名を明かしていないから大丈夫』と思っていても、友達を作りたいという理由から『#春から○○大学生』というハッシュタグで、入学前からつながろうとする人はたくさんいます。カルト団体やマルチ商法の組織などは、こういうハッシュタグを狙っているので、注意が必要です。
また、このようなタグでつながると、同じ所属の学生がフォロワーに増えていき、匿名アカウントのつもりが、個人が特定される可能性が高まっていきます。そのアカウントに愚痴などを書いていると、就職活動をするときに企業にチェックされたりするので、デメリットしかありません。賢い学生ほどSNSでつながろうとしない時代です」(20代/国立大学助教)