「やりたいことに真正面からぶつかろう、ダメならしょうがない」
「長野くん、自分らしくだよ」──それが逸見さんの答えだった。
「そのときすぐにはどういうことかわからなくて、家に帰っても考え続けているうちに、逸見さんはどんな番組でも逸見さんらしく輝いている。きっと周りから私はそう見えていないのだと思い至ったんです。それなら本当に自分がやりたいことに真っ正面からぶつかろう、ダメならしょうがない、と腹が決まって、仕事をすべて辞めて海外に留学する決心がつきました」
5年半ニューヨークで生活し、大学院で修士課程を修了した長野は2000年に『ザ・スクープ』(テレビ朝日系)で見事、キャスターに起用される。
しかしそのときすでに逸見さんは闘病生活の末、スキルス胃がんでこの世を去っていた。
「キャスターとして夢を叶えた姿を見ていただけなかったのは心残りです。
最近は私も後輩からキャリア相談をされることが多くなりました。悩みを打ち明けられたときは、逸見さんの顔を思い浮かべながら“本当にやりたいことを1つに絞って全力を尽くすといいよ”とアドバイスしています」
【プロフィール】
長野智子(ながの・ともこ)/1962年アメリカ生まれ。フジテレビアナウンサーを経て、報道キャスターとして活躍中。国連UNHCR協会理事に就任。4月より文化放送『長野智子アップデート』放送開始。
※女性セブン2024年4月11日号