日米の金利差縮小による円高はメリットかデメリットか
日米の金利差縮小による円高のメリットを受けやすいのが航空業界だ。
「海外から調達する燃料費のコストが減るうえ、日本人の海外旅行者の増加も見込めるため、日本航空(9201)やANAホールディングス(9202)にとってプラス材料となります」(岡山氏)
一方、円高のデメリットが直撃する業種もある。前出・平野氏が指摘する。
「経験則では、半導体関連が利上げに伴う円高に弱いとされますが、3月の利上げでは東京エレクトロン(8035)などが値上がりした。私は米国が急激に利下げを進める可能性は低いとみており、円高も短期間のレンジではさほど進まないと考えますが、円高が進めば半導体関連にとって逆風となるのは確か」
前出・岡山氏は自動車関連のリスクをあげる。
「日銀の利上げ直後は円安が好感され、トヨタ自動車(7203)や日産自動車(7201)などの上昇が目立ったが、今後円高に反転すれば収益を圧迫しかねない。トヨタは今年1月、株式時価総額がバブル期のNTTを上回る日本企業の歴代最大を更新するなど日経平均4万円超の上昇相場に貢献しており、米国の利下げの影響は今後も注視が必要です」
前例なき異次元緩和からの脱却で何が起きるか、見通す力が求められる。
※週刊ポスト2024年4月12・19日号
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