鈴木健二さんと黒柳徹子さんの共通点
鈴木さんは1988年1月にNHKを定年退職すると、細川護熙・熊本県知事(当時)に招請され、熊本県立劇場の館長になり、熊本県立劇場文化振興基金を創設した。
「NHKを退職した後の1990年代は上位にはならなかったものの、高額納税者として公示されていました。例えば、1991年の納税額は3600万円、1994年は2996万円、1999年は1531万円です。NHK時代と変わらず、著作の出版や講演会の依頼がたくさんありましたから、収入は多かった。鈴木さんはそのお金を振興基金に注ぎ込んだそうです」
そもそも高額納税者公示制度は、第三者のチェックを受けることで脱税を防止するという目的で導入された。個人情報保護のため2005年に廃止されたが、それまでは毎年春の風物詩であり、一般人がどうしたらお金持ちになれるかを考える際の1つのヒントにもなっていた。
「鈴木さんの納税額が最も多かった1983年、俳優部門1位は黒柳徹子さんの1億5833万円でした。1981年に発売した『窓ぎわのトットちゃん』がベストセラーになっていました。
徹子さんも鈴木さんと同じく相当な読書家で、回答者として出演していたクイズ番組『世界ふしぎ発見!』のために、出題テーマに関する本を毎週平均5冊読んでいた。長者番付の上位に名を連ねていた2人とも大変な読書家なんですね」
生涯で200冊以上の本を出版し、3500万部以上を売り上げ、青森県立図書館の館長も務めた鈴木さん。巨額の収入の源となったのは、その類まれなる読書量だったのではないだろうか。