「目立ちたくないが、やる気がないわけではない」
おとなしい新入社員は、上長たちからすると「覇気がない」「やる気があるのだろうか」という評価になってしまいがちだが、そう考えるのは早計だ。
「『わからないことがあったら質問して』といっても質問してこないのは、『こんなこともわからないのか』と思われたくない、いい意味でも悪い意味でも目立ちたくないという思いがあるからで、決してやる気がないわけではないんです」
慣れない職場では、コロナ禍で対面コミュニケーションが不足した影響はあるかもしれないが、経験の積み重ねで克服していけると北氏は見る。
「彼らに『自分のコミュニケーション能力が低いと思う人?』と問うと、8割の人の手が挙がります。一見、自己肯定感が低そうに思えますが、日常生活について聞いてみると、両親やきょうだい、友達とはよくコミュニケーションをとっているし、その人たちとどんなことを話しているのか聞くと、端的にちゃんと答えてくれます」
コミュニケーション能力が低いのではなく、初対面の人、上司、世代の異なる人らと話すときに、何を話していいかわからなくて沈黙しがちになることに、自身の苦手意識があるだけのようなのだ。
「有名大学出身=できる子」と見ない
では、そんな彼ら彼女らに対し、上司や先輩社員はどう接すれば円滑なコミュニケーションが実現するのか。
「減点法ではなく、加点法で見てあげることです。とくに有名大学を出ていたりする子には最初から『できる子』という目で見がちですから、減点法になってしまう。でも、学歴上の評価とビジネスシーンでの評価は違って当たり前。報告がない、質問してこないといって減点するのではなく、それらができたら加点する、という感じでその人を見ることが重要です。
『なんでできないの?』と思うのではなく、彼ら彼女らにその経験がないだけと割り切りましょう。『質問してこないからできるのだろう』ではなく、むしろ先回りしていろいろ教えてあげてほしいと思います」