財源の議論の前に、一度、撤回を
立憲民主党は、日銀が保有している上場投資信託(ETF)から出ている分配金を代替財源として活用する修正案を提出しましたが、財源の議論を始めると、議論はまとまらなくなるんです。私は増税せずに歳出削減を通じて財源を出すべきだという考え方ですが、「消費税でやるべき」という人もいれば、「資産課税でやるべき」という人もいる。国債(借金)でまかなうべきという議論もあるでしょう。
ただ、ここで誤魔化されてはいけないのですが、いずれの立場であろうと、社会保険料に上乗せして財源に充てる政府方針が間違っていることだけははっきりしている。
岸田政権は、国民がよくわからないうちにごまかし切ってしまおうという作戦のようですが、こんなものはいずれ国民に見透かされるに決まっています。バレた時に、国民の激しい怒りを買うに違いありません。そんなことになる前に、一度、立ち止まって撤回してもらい、1年かけて正面からの議論をしないと。
支持率が低いことがネックになるなら、負担が生じるような子育て支援の支出を止める選択肢もあるはずです。増税であろうと、歳出削減であろうと、どのような提案をしても反発は食らいます。その反発から逃げない政治を期待しています。(了)
【プロフィール】
原英史(はら・えいじ)/1966年生まれ。通商産業省(現・経済産業省)入省後、中小企業庁制度審議室長、規制改革・行政改革担当大臣補佐官などを経て退職。2009年に設立した株式会社政策工房の代表取締役社長のほか、大阪府・市特別顧問、NPO法人万年野党理事、外国人雇用協議会代表理事などを務める。主著に『岩盤規制』(新潮新書、2019年)、『国家と官僚』(祥伝社新書、2015年)など。