制度“改悪”を逆手にとる方法は
日本では大規模な抗議活動に発展することは考えにくい。異常な物価高に上がらない賃金、そして年金減額と、声を上げる気力もない私たちがせめてこれ以上自分の資産を減らさないためにできるのはむしろ、こうした制度を“逆手に取る”ことかもしれない。
権丈さんは、パート主婦であっても、第3号被保険者としてではなく、厚生年金加入者として年金を受け取る方がいいと説く。
「公的年金は国庫負担の補助金が入っていますし、保険料そのものは『労使折半』といって、企業が半分を払ってくれます。
さらに、東京都が開催した『くらし方会議』が、就業調整をして第3号被保険者として生きた場合と、継続して就業した場合の生涯所得を計算したところ、その差は約2億円にもなりました。そのうち3千万円は年金によるもので、もちろん、長生きして年金を受け取る期間が長くなるほど差は大きくなります。
“年収の壁を超えたら働き損になる”という人たちもいますが、そんなものは大嘘。よほどの家庭の事情がない限り就業調整なんかせずに、できる限り長く働いて収入を増やした方が、年金を増やすことにもつながるのです」
本当に安心できる改定がなされるか、改悪が進むか──目を離すわけにはいかない。
※女性セブン2024年5月2日号