大手行が個人を捨てる日
JR東日本の参入で「異業種による銀行参入はさらに加速する」と経済ジャーナリストの森岡英樹氏は見る。
「JRE BANKの口座数が大きく増える前に手を打ってくるところが出てくるはず。ニトリなどのリテール企業やトヨタ自動車など母体が大きい企業に広がっていく可能性があるでしょう」
競争激化のなかで、メガバンクはインターネットバンキングのサービスを拡充するなど、生き残りをかけた戦略をすでに進めている。
その先に、どのような未来があるのか。真壁氏はこう語った。
「私が銀行に勤めていた時は『口座振替決済は銀行専業だから、銀行は絶対になくならない』と言われていましたが、そうした垣根はどんどんなくなり、もはや“銀行だけが銀行ではない時代”となっています。
大手銀行は支店やATMを減らしてきたので、この先も小口の預金者を取り込む戦略は考えにくい。将来的には『小口の預金者は異業種参入組、大口の顧客はメガバンクなど大手行』といった棲み分けが進むことも考えられるでしょう」
私たちが“異業種参入組”のなかから自分のメインバンクを選ぶ時代の到来が予想されている。その時、“Suica銀行”が有力な選択肢となっているのだろうか。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2024年5月3・10日号
次のページ:JRE BANKでもらえる特典・サービス、口座開設の流れ