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年金博士が教える年金減額時代の“得するテクニック”「まず国民年金を満額にする」「繰り下げ受給を検討」

“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が年金受給額アップのポイントを紹介

“年金博士”こと社会保険労務士の北村庄吾氏が年金受給額アップのポイントを紹介

 人生100年時代の到来によって、定年後も働き続ける人が増えている。そして長く働けば「働きながら年金受給」が当たり前になる。そうしたなか、来年の年金制度改正に向けた注目の動きがある。

 それが「在職老齢年金の廃止」だ。現行制度では、給与と年金(厚生年金の報酬比例部分)の合計が「月50万円」を超えると、超過分の年金の半額がカットされる。月給50万円、年金月額10万円の人なら年金5万円が支給停止になるわけだが、厚労省は同制度の廃止や一部緩和の議論を進めると発表した。

“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾氏が言う。

「働けば働くほど年金が削られ、シニアの勤労意欲を減衰させる悪名高い制度ですが、労働力人口が急減するなかで見直しの動きがあります。物価上昇局面で年金額の伸びを抑制するマクロ経済スライドの仕組みがあるため、何もしないと年金は毎年実質減になる。給与を得ながら年金をどう増やすか、一人ひとりが考えなくてはなりません」(以下、「 」内は北村氏)

国民年金が満額に達していなければ「任意加入」できる

 年金減額時代の“得するテクニック”としては、「まず国民年金(基礎年金)を満額にすることから始めるべき」だという。

「満額というのは20~60歳までの40年間(480か月)、国民年金保険料を払い続けた場合の年金額です。令和6年度の額は年81.6万円ですが、これが満額に達していない人が少なくありません」

 22歳で大学を卒業して60歳定年まで保険料を払った人だと加入期間は38年、基礎年金は年77.5万円にとどまる。加入期間35年なら年71.4万円で、満額の場合より年約10万円も少なくなる。

「満額に達していない場合、60~65歳の期間に国民年金へ『任意加入』できます。60歳リタイアならこの制度を使うべきですが、60歳以降に働き続けることも解決策になる。その場合、基礎年金自体は増えないものの、それに相当する厚生年金の経過的加算があるからです。60歳以降も会社勤めを続け、その期間に配偶者が60歳未満なら第3号被保険者として加入期間が延ばせるメリットもある」

 60歳以降に働き続け、加入期間35年の夫婦が満額にできれば、65歳からの年金は2人合わせて年20万円増。20年間で400万円の受給額アップだ。

次のページ:65歳以降で検討に値する「繰り下げ受給」

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