少子化が進むなか、2023年度の大学進学率は57.7%と過去最高を記録した(文部科学省学校基本調査より)。しかし、入学したすべての学生が順調な大学生活を送れるわけではない。文科省の別の調査によると、大学生全体のうち約2%が中退している状況だ。
大学関係者に話を聞くと、不登校になったり中退したりする学生のうちの大半が、初年時から何かしらの課題を抱えているケースが多いという。家族や教員らが、そのSOSサインを見逃さないためにはどうしたらよいのか──。
オンラインゲーム徹夜で不登校に、退学するケースも
都内の大学に勤務する男性教員・Aさん(40代/准教授)は、家族が注意すべき点について、次のように話す。
「私は3年間ほど学生相談対応をしてきました。退学してしまう学生の理由として、多いのは、“友人ができない”、“家庭の経済的な事情”、“不本意入学による不登校”といったものが挙げられます。ただ、最近目に見えて増加しているのが“ゲームによる徹夜”という問題です。
オンラインゲームにハマってしまい、徹夜でプレイしてしまうケースは珍しくないでしょうが、なかでも退学につながりやすいのは、ゲーム内で友人を作り、人間関係がそこで完結してしまうケースです。そういった学生は『大学でわざわざ友達を作る必要がない』と考えてしまいがちで、ゲームへの依存性も高まります。
なかには“ゲーム代行”といって、他人のアカウントでレベルアップなどを行い、その対価として金銭を取得している例もある。その収入を目当てに、他のアルバイトをせずに家でゲームだけをしているという学生もいる。これはゲーム内の規約違反やトラブルに巻き込まれるリスクもあり、危険な行為です。保護者の方は、ゲームで徹夜をしていないか、大学にちゃんと通えているのか、注意してほしいです」(Aさん)