「入るのは大変だが出るのは簡単」といわれる日本の大学。だが、入った後に安心して勉学を怠ると、後でしっぺ返しがくる。早稲田大学商学部卒の唐沢敦子さん(32才・仮名)が唇を噛む。
「高2から予備校に通って、一般入試で念願の早稲田に合格しました。“部活も遊びもせず頑張ったから”と、大学の4年間はバイトとサークルに明け暮れ、ほとんど勉強しませんでした。
就職は“早稲田ブランド”で大手商社に簡単に決まりましたが、中堅どころの年齢になったいま、私は“使えない社員”。ミスをするたびに『早稲田なのに』となじられます。地方大卒の後輩の方がずっと優秀で、英語も堪能。4年もの時間と学費どころか、受験のために犠牲にした高校での2年間や予備校代までドブに捨てたと後悔しています」
東大、京大、早慶上智、GMARCHなどブランド大学の看板はいまも神通力を持っており、「東大枠」「早稲田枠」がある企業も少なくない。だが、学歴至上主義は廃れており、10年ほど前から、エントリーシートに大学名を書かせない企業が増えている。大学入試制度に詳しい「大学通信」の安田賢治さんが語る。
「昔のような“大学なんてほとんど行かずに卒業した”とうそぶくモラトリアム学生はすでに絶滅しました。ただし、最近はきっちり授業に出ているのに成績が悪い学生も多い。授業に出ることが目的になっていて、自ら学ぶという意識が低い」