具体化されつつある四半世紀後の風景
最先端の現場では、AIやロボットが活躍する四半世紀後の風景が具体的に描き出されつつある。
「ぼくの目標は、2044年までに『ドラえもんをつくるプロジェクト』を完了させることです」
そう話すのは日本大学文理学部准教授で、『じぶんの話をしよう。成功を引き寄せる自己紹介の教科書』(PHP研究所)を上梓するAI研究者の大澤正彦さんだ。
「このプロジェクトがスタートしたのはちょうど10年前の2014年。人の心に寄り添い、相互作用するAIの分野である『HAI(ヒューマンエージェントインタラクション)』の技術を使い、研究を進めています」
現在、大澤さんが開発中のAIは「ド」と「ラ」だけで相手とコミュニケーションを取る小さなロボット。
「人工知能であるChatGPTのように流暢にしゃべり、言語ベースでコミュニケーションを取るのではなく、まだ言葉を覚えていない小さな子供のように感情の赴くままに相手と仲よくなろうとするロボットです。開発や研究とともに、2050年の未来を担う子供たちと月に1回、『ドラえもんを本気でつくる子ども会』を開いています」
心強い“相棒”の誕生を心待ちにしたいが、AIとロボットの知能と技術の融合は四半世紀後の日常と、どうリンクするのだろうか。三上さんが解説する。
「すでにファミリーレストランなどで稼働している『配膳ロボット』が原型になり、進化していくことが予測されます。配膳ロボットはAIが店内のマップを把握し、ロボットがお客さんのいる場所に正確に配膳する。あれこそがAIとロボットの理想的な融合の形です。
同様の融合パターンは実用化を目指して実験が続く自動運転やドローン配送にも当てはめることができる。2050年には両方とも実現するでしょう。無人のバスで通勤し、配達物は空からドローンが手元まで届けてくれるようになる未来がやって来るはずです」
※女性セブン2024年5月9・16日号