21世紀を迎えて四半世紀が過ぎようとしている。次の四半世紀が過ぎた2050年は一体どんな社会となっているのだろうか。専門家による知見のもと、経済や働き方に関する未来を予測する──。
2050年には、あらゆる病気がなくなり、介護から美容までAIやロボットのサポートが受けられるようになっているかもしれないが、先立つものがなければ不安はぬぐえない。老後資金をとりまく状況はどうなっているのだろうか。経済評論家の加谷珪一さんが指摘する。
「現代の日本において老後資金の根幹を担っている公的年金は、2050年にも継続していることは間違いないと思います。日本の公的年金制度は現役世代が納付する保険料によって高齢者を支える仕組み。つまり若年層の人口がゼロにならない限り、半永久的に継続するといっていいでしょう。ただし保険料を負担する世代の人数は減少し、受給する高齢者の層は厚くなるため、年金が減額される可能性は非常に高い。
一方、今年の1月から始まった新NISA(少額投資非課税制度)は“年金だけでは足りないので自分で老後資金を増やしてください”という政府の意図から始まった制度であり、簡単に終わらせるわけにはいきません。30年や40年続けるのが大前提なので、2050年にも続いているはずです」
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