憲法第18条では「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」と定めています。そして、雇用期間を定めなかったときは、いつでも雇用契約の解約を申し出ることができ、解約を申し出た日から2週間を経過すれば雇用契約が終了すると民法で定められています。労働者のする解約申し入れが退職です。息子さんの雇用契約に期間の定めがなければ、退職申し出により、2週間で退職の効力が生じます。
労働基準法では、1年以内の有期契約を締結することが認められており、その期間内は勝手にやめるわけにはいきません。しかし、やむを得ない事情があれば即時に退職できます。つまり、息子さんが有期契約だとしても、店長のパワハラが原因でやめざるを得なくなったので、やむを得ない事由による解除ができます。
なお、退職届は合意解約の申し込みに留まり、引継ぎ期間などを会社と協議の上、退職時期を決め、改めて合意解約する場合が多いといわれています。そこで、単なる申し込みではなく、確定的意思として退職する旨を申し出るのがよいでしょう。期間付き雇用の退職であれば、店長のパワハラ行為によりやめざるを得ない旨を付記してください。
【プロフィール】
竹下正己/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。射手座・B型。
※女性セブン2024年5月9・16日号