「地方創生」政策でむしろ東京一極集中が進んだ
実際のところ自治体の未来がどうなるのかと言えば、人口戦略会議の指摘より深刻だ。2050年までで区切らずもっと先まで見据えるならば、東京23区を含めたすべてが「消滅可能性自治体」となる。
すなわち、「消滅可能性自治体に該当しなかった」とか、「脱却した」とかというのは“一時的な話”ということである。むしろ、現状に安堵して将来に向けた取り組みが疎かになる弊害のほうが大きいかもしれない。
すべてが「消滅可能性自治体」である理由は、20~39歳の女性人口が今後凄まじい勢いで減り続けていくからだ。総務省によれば、2023年10月1日現在の20~39歳の女性人口は1273万人である。これに対して20年後にこの年齢となる0~19歳は958万9000人と24.7%も少ない。社人研の推計で2020年と2050年を比較しても26.0%減である。これは「変えることが極めて難しい未来」である。
ここからの四半世紀だけでも出産期の女性数が4分の3に減る。その先も減少に歯止めがかかる予測とはなっていない。必然的に日本の出生数はかなり遠い将来まで減り続けることになる。すべての自治体が現在の姿のまま成り立ち続けるはずがないことは、火を見るより明らかだ。
地方創生政策の失敗を改めて明らかにしたことも分析レポートの成果だ。
これまでの政府の地方創生政策といえば、東京一極集中の是正が中心であった。これを踏まえ、多くの自治体は移住促進策に力を入れてきたが、目に見えた結果は出ていない。
それどころか、奪われる側の「東京」は財政力にものを言わせて手厚すぎるほどの子育て支援策を展開するなど防御に走った。こうしたこともあってか、東京一極集中は、むしろ進んだ。