人口減少自治体同士の合併や広域連携では解決せず
政策で状況を変えることの難しさは、人口戦略会議の分析結果からも読み取れる。
人口戦略会議は20~39歳の女性人口減少率が20%未満の市区町村を「自立持続可能性自治体」としているが、手厚い子育て支援策でメディアに大きく取り上げられてきた自治体が必ずしもこれに該当しているわけではない。政策によって状況を好転させることは極めて困難ということである。
先にも触れたが(前編記事参照)、状況が短期的に改善した自治体の最大の要因は、外国人人口の増大によるところが大きいと見られる。だからと言って、外国人を増やし続ければいいということにはならない。
人口減少社会で外国人を増やせば、自治体レベルでは日本人人口を上回るところが出てくるだろう。外国人の割合が増えると、生活上のトラブルや社会の分断が起こりやすくなることは諸外国が証明しているところだ。
人口戦略会議のレポート発表後、地方圏の知事などからは、自治体単位ではなく、政府が先頭に立って少子化対策や東京一極集中是正に強力に取り組むよう求める意見が相次いだ。
いまだ地方分権や道州制を唱える声も無くならないが、人口減少がすでに進行している現時点においては周回遅れのアイデアだ。人口が激減する自治体同士で合併したり、広域連合を締結したりしても解決とはならない。
では、どうすべきか。発想を大胆に変えるしか打開策は見つからないだろう。現状を維持しようと努力すればするほど、結果としては行き詰まる。時間との勝負だからだ。