米国の株式市場は、上昇相場から一転し、4月は下落も目立っている。弱気相場入りしたのか、それとも一時的な調整なのか、市場関係者の多くがその見極めの判断を迫られている。個人投資家・投資系YouTuberの森口亮さんによる、シリーズ「まるわかり市況分析」。森口さんがテクニカル分析をもとに解説する。
* * *
4月に入ってから、市場の空気が変わり始めました。多くの投資家にとってベンチマークであるS&P500は、4月第3週までに高値から5%以上の下落を記録。かつての史上最高値更新の熱狂と不安が交錯する中、過去の弱気相場時の基準を踏まえて検証を行いたいと思います。
現在の状況は弱気相場の定義にあてはまるのか
4月19日までの3週間でS&P500は、高値から5.9%下落しました。一般的に弱気相場の入り口とされる「マイナス20%」の基準に比べれば、まだかなり余地があると言えます。つまり、下落トレンドへ転換しているのか、それとも上昇トレンドの中の一時的な押し目なのか、両方の可能性が残されている状態です。
S&P500は年初来高値(5264.85ポイント)から20%下がると4211.88ポイントになりますが、これは2023年10月から11月にかけて見られた水準とほぼ同じです。その時期は、インフレへの懸念が依然として強く、利上げへの警戒感が色濃く漂っていました。
その水準を割り込むと弱気相場入りと見なされるのですが、これはどこか納得がいくものです。何となくですが、弱気相場への入口に立っていることを肌で感じる人が多いのかもしれません。