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【中国EV市場は戦国時代に】トヨタ自動車が提携相手にファーウェイではなくテンセントを選んだ本当の理由

クルマの知能化・スマホ化の競争へ

 テスラに限らず、BYDも「シャオミ潰し」で値引き攻勢に転じている。

 シャオミのEVは、最新AIを装備した自動運転技術を採用しているほか、アップル、サムスンに次ぐ世界3位のスマホの販売台数から得られた顧客基盤力をベースにする強みがある。

 脱炭素を起点に起きたEVシフトは今や、その競争の本質が、クルマの知能化・スマホ化──すなわち、いかに賢いクルマを作るかといった次元に進化している。米アップルはEVへの進出を断念したと報道されているが、業界では、「ハードとしてのクルマづくりはトヨタなど日本勢に勝てないので、クルマの知能化を進めるソフトウエアの開発に注力するのだろう」と見る向きもある。

 これを商機と見たIT関連企業が自動車産業に参入している構図だ。こうした流れは別名、「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV=ソフトウエアで定義される車)化」とも言われる。

 SDV化が進むと、販売後も運転支援や事故防止などのシステムを「アップデート」できるようになる。

「今後はスマホがクルマのキーになり、あらゆることがデータで管理できるようになります。EVでなくてもSDV化はできますが、ハイブリッド車(HEV)はEVに比べてバッテリーが小さく、停止中の電力利用量に制限があるため不向きです」(大手自動車メーカー技術者)

後編に続く

【プロフィール】
井上久男(いのうえ・ひさお)/1964年生まれ。ジャーナリスト。大手電機メーカー勤務を経て、朝日新聞社に入社。経済部記者として自動車や電機産業を担当。2004年に独立、フリージャーナリストに。主な著書に『日産VS.ゴーン支配と暗闘の20年』などがある。

※週刊ポスト2024年5月17・24日号

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