常連の足が遠のいてしまう危惧
同様の悩みは、羽田空港のある大田区の繁華街でも聞かれた。夫婦で店を切り盛りする居酒屋店主(60代)の話。
「今のところ大きなトラブルはありませんが、会計時に“お通し代”の説明を求められたり、クレジットカードが使えないことに腹を立て、英語で捲し立てられたことがありました。観光地の飲食店などと違い、地元のお客さんで成り立ってきたうちのような店では、対応にも限界があります」
海外からの“一見客”を受け入れることで、「常連さんの足が遠のいてしまう危惧もある」と言う。
「開店直後にグループで来店し、ろくに注文をせず、閉店まで居座る外国人客も少なくありません。キャパも少ないから、常連さんがいらしてもお断わりせざるを得ないことも。慣れない日本酒を次々に空けてどんちゃん騒ぎし、店内で嘔吐されたこともありました。日本人でもマナーの悪いお客さんはいますが、言葉が通じない外国人客の対応は本当に難しい」
前出のかどや店主が言う。
「飲食店を構えていれば、いろんなお客が来店します。でも、日本政府が進めた『おもてなし』政策を是として、理不尽な外国人客に迎合する必要はないと考えます。当店の『日本語オンリー』に腹を立てた外国人客から、差別用語を含んだ嫌味を言われたこともありましたが、私は『英語対応をしない』と決めているので、言い返さず睨みつけるだけにとどめました(笑)」
「インバウンド好景気」を手放しで喜ぶべきか。