住まい・不動産

人口減少自治体の「空き家を活用した移住促進」が地方財政に重荷となって跳ね返ってくる不幸な未来

人口減少を前提とした住宅政策とは

 では、今後の対策はどうすべきか。

 まず取り組むべきは、空き家を必要以上に生み出さないようにすることだ。税制をはじめ供給過剰の解消を促す仕組みづくりが急がれる。

 同時に、人口減少に伴って必然的に出てくる空き家について、新たな「住宅」として作り直すものと、別用途の土地活用に向けて壊すものとに分けることが求められる。人口減少社会とは、「住民」となる国民の数が減っていくということだ。使われなくなった住宅をすべて「住宅」として再生することには無理がある。

 社会の担い手が少なくなり、1人暮らしの高齢者世帯が増えるという現実が横たわる中、社会機能を維持するにはどのような街づくりを進めればよいのかを考える視点が不可欠となるということだ。

 人口が減ることを前提とした国土政策の中で、増える空き家をどう扱うか──。日本の住宅政策は大きな曲がり角を迎えている。

(了。前編から読む

【プロフィール】
河合雅司(かわい・まさし)/1963年、名古屋市生まれの作家・ジャーナリスト。人口減少対策総合研究所理事長、高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員のほか、厚生労働省や人事院など政府の有識者会議委員も務める。中央大学卒業。主な著書に、ベストセラー『未来の年表』シリーズ(講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)などがある。

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