プライバシー保護のため、各所で「名札」廃止の動きが広がっている。佐川急便は自社トラックに掲示していたドライバーの名札を廃止。東京都品川区は来年1月から、職員が身につける名札のフルネーム表記をやめることを発表している。
とはいえ、飲食店スタッフやコンビニスタッフなど、依然として名札をつけるルールになっている職種は少なくない。店員と常連客のあいだで良い関係を築けているならいいが、客側から名前や顔を覚えられたことで、恐怖の経験をしたことがある人もいる。現場でどんな事態が起きているのか。接客業経験者たちに聞いた。
セルフサービスでも「持ってきてほしいな」と甘えられ…
都内の私立大学に通う20代女性・Aさんは、ファミレスと居酒屋でアルバイト経験があるが、「勘違いしている客がいた」と振り返る。
「ファミレスでも居酒屋でも、それぞれ別の男性客ですが、『○○ちゃんお願い』とわざわざ“指名”してくる人が一定数いました。無料のキャバクラ感覚というか……。
セルフサービスでも、わざわざ『○○ちゃんに持ってきてほしいな』と甘えられたりして……。セルフなのでと説明したのですが、後日、『態度が悪い』『客を大切にしろ』などとクレームを入れられ、驚くとともに恐怖を感じました」
Aさんが店長に相談して出勤日を変えてもらったり、忙しくて素っ気ない対応になることが多くなった頃、ファミレスの男性客から“意外な言動”をされた。
「ファミレスで『乃木坂(46)にいそうだよね』とよく言ってくる人がいて、褒め言葉のつもりなのかなとは思っていたのですが、ある時、会計時に手を握ってきて、『僕のためにもっと笑ってよ』と言われて本当に気持ち悪かったです」(Aさん)