Facebookに何度もメッセージ、学校の前で待ち伏せ
愛想良く対応したために怖い思いをした人もいる。IT企業勤務の30代女性・Bさんは、大学生の頃のコンビニのバイトで、「男性客からストーカー被害に遭った」と明かす。
「ネームプレートからFacebookを特定され、何度もメッセージが来ました。無視しても客として来るから避けようがありません。混んでいて複数人の店員がレジにいるのに、私の担当するレジに商品を必ず持って来たり、仕事終わりに待ち伏せされたり……。
一番怖かったのは、大学からの帰り、男性客が大学の門の前で待っていて、『遅かったね』と言われたことです。全力で振り切って逃げて、バイトもやめました。接客の笑顔で勘違いさせてしまったと思うと、愛想を良くするって難しいなと思いました」
店員の名札と顔を動画撮影する客
現在はメーカー勤務で、過去に小売店での勤務経験がある30代男性・Cさんが言う。
「ネームプレートを見ながら、『新人?』と顔をまじまじと見られ、その後は『呼ばれたらすぐ来い』『いつもの持って来い』など、まるで『自分が教育してやる』と言わんばかりの高圧的な態度の男性客がいました」
Cさんは、「こうしたリアルでの対応はまだ我慢できた」と語るが、それ以上に困るのは「ネットで晒される」ことだという。
「Googleの口コミに、一方的な批判を実名で書かれたことがあります。少しでも気に食わない対応だと、スマホでネームプレートと店員の顔を動画撮影する客もいました。接客の仕事は好きでしたが、さすがに恐怖を覚えてやめました」(Cさん)
「お客様は神様」とばかり過剰なサービスを求めたり、接客を好意と勘違いしたり……。名札廃止の動きを納得せざるえない状況が現場にはある。(了)