前代未聞の大事件が起きた。大相撲5月場所で、初日に1横綱4大関が全員敗れたのだ。出場した5人以上の横綱・大関が初日に全員黒星という昭和以降初の事態となった。それにより、白星をあげた下位力士たちは、“大金”を手にすることになったのだ――。
まさかの展開に、両国国技館は沸きに沸いた。初土俵から所要6場所という歴代2位のスピード出世で新小結となった大の里に横綱・照ノ富士がすくい投げで敗れたのをはじめ、大関陣は霧島が豪ノ山(西前頭2)、貴景勝が平戸海(東前頭2)、琴櫻が大栄翔(西前頭筆頭)、豊昇龍が熱海富士(東前頭筆頭)に敗れた。
角界では関脇以下の力士が横綱・大関を食った時が「番狂わせ」とされ、過去には双葉山の70連勝を止めた平幕の安芸ノ海戦(1939年)、大鵬の46連勝を止めた平幕の戸田戦(1969年)などが有名だが、今回のようになるともはや「番付崩壊」である。相撲担当記者が言う。
「関脇以下が横綱・大関を倒すとNHKの大相撲中継でインタビュールームに呼ばれるが、この日は立て続けに5人も呼ばれたためにコメントはそれぞれ一言だけという異例の状況となった。負けた横綱・大関たちはノーコメントを貫き、ただひとり取材に応じた琴櫻は“切り替えてやります”と言葉少なに語った。勝った力士も喜びを全面に出せず、支度部屋は異様な雰囲気でしたね」